日本美術院の重鎮として活躍する伊藤髟耳氏は、日本画に対する真摯な姿勢を変えることなく制作を続けています。
伊藤氏は日本画家を志し、1966年、院展に初入選を果たしました。岩絵具を何十回も塗り重ねることで発色の良い色彩を生み出し、金銀の代わりに錫を使用するなど、画家としての名声を得て以降も研究を重ねた成果を作品にしています。近年は、余白を生かした画面構成や、写生から小下図、大下図を作成する伝統的な制作手順を大切にするなど、以前にも増して日本画を深く探求した作品を発表しています。
本展では、これまでグループ展を通じて関わってきた湯河原の風景や、昨年大雄山最乗寺に納められた道了尊首都圏御開帳の様子を描いた屏風絵などを展示します。爽やかな画面の中に込められた熱意溢れる世界をご堪能ください。