固く冷たいイメージの金属という素材を選び、自由で陽気な気分の作品を作り続けている田中千絵さん。その作品ひとつひとつには、それぞれの個性や人格があるかのようです。
ひたすら金属板を叩いて造形する鍛金という技法。「まずは計画に従って金属板を切り、叩いて形を作り始めます。そのうち金属が成りたい方向性を示してくるので、話し合いながら、お互いの決着が着いたところが最期の形となるのです」と。無心に、誘われるままに手を動かし、作る喜びがエネルギーとなって形に納まっていくのでしょう。
今回の個展では初めての試みとして、大小さまざまな真鍮のトレーを制作。自由な形状に錫で描かれた抽象文様。壁に掛けてインテリアとしても楽しめます。漆で色づけされたいつものオブジェも加わり、またもや楽しそうです。