鈴木康広(1979年浜松市生まれ)は、日常の見慣れた事象に新鮮な切り口を与える作品によって、ものの見方や世界の捉え方を問いかける活動を続けています。2010年5月に開館した静岡市美術館では、展覧会事業が始まるグランドオープンに先がけ、代表作のひとつ「まばたきの葉」をエントランスホールに展示しました。来館者が葉を入れることで木の形が空間に現れるこの作品は、「見る」ことに潜む可能性を気付かせるだけでなく、開館したばかりの美術館の空間と市民をつなげてくれた、当館にとっても大切な作品です。開館10周年を記念し、再び「まばたきの葉」がエントランスホールに登場します。10年前―10年後―そして次の10年―。均一に流れていると思われる時間も、捉え方や感じ方はひとりひとりで異なり、そこには多様な視点が存在しています。10年という「時間」や「記憶」を見つめることで、過去/現在/未来の新しい関係性が立ち上がってくることでしょう。