千社札とは、貼る事で参籠と同じ功徳があるという信仰から、参拝者が寺社に貼る札の事である。
それらは信仰の上に成り立つものである一方、その存在自体が信仰を形作っているとも言える。
記された名前や出身、参拝年数、札のデザイン、貼り方などは多種多様であり、札が無数に貼られた寺社の本堂などで、時空をこえた人々の存在が一箇所に交錯する様は壮観だ。
この空間では信仰以外にも、時間という目には見えない概念を感じる事ができる。
「全く違う地域、時代を生きた人々の存在が形作れるもの」に焦点を当て、札を「貼る」という過程を通じ果てしない時間の流れを表現した。