第11回「吉左衛門X」は、東北の山村に暮らしながら、創作活動をつづけている画家・齋藤隆と*1樂直入のコラボレーション展を開催いたします。*2グリューネヴァルトや中国の宋元画に魅せられて画家を志した齋藤は、ほぼ独学で絵を学びました。「人間が生きてゆく中でつかめるような物の本質、そういうものを表現したい」と、コンテや墨の黒一色で異形な風貌の人間像や、朽ちゆくものを精緻に描き続け、独自の絵画の世界を創り上げてきました。人間の最も深い本質を見つめ続けている齋藤の生き方に共感するという樂直入。本展は、直入が制作した新作樂茶碗と齋藤作品を展観することにより、二者に通じる深い精神性にふれようとする試みです。
*1=2019年7月8日に代を譲り十五代吉左衛門は樂直入に改名しました。
*2=マティアス・グリューネヴァルト=16世紀に活動したドイツ・ルネサンスを代表する画家。ドイツ絵画史上最も重要な作品の1つであり、後期ゴシックの精神を代表する《イーゼンハイム祭壇画》の作者。形態と色彩の表現主義的な描写の力によって、信仰の内面的精神性を表出したと称されている。