フィンランドは美しいデザインの宝庫です。人々が長きにわたり暮らしの中で使い続け、そして癒されているそのデザインは、大いなる自然を忘れないという考え方に裏付けられています。フィンランドの人々は建国前から大地の豊かさを生活に取り入れ、その結果生まれたライフスタイルを愛してきました。自然とともにある暮らしは、優れたアーティストやデザイナー、建築家たちを生み、彼らの活躍により、自然の恵みを生かしながら洗練されたデザイン・プロダクツを生産し、皆がシェアする近代的な社会が確立されていきました。その積み重ねは、より優れたフィンランド独自のデザインを生み出し続ける原動力となり、魅力的なその製品は今なお世界各国で支持されています。
本展では、ヘルシンキ市立美術館監修のもと、200年にわたりフィンランドという国を支えた染織、およびガラス工芸の分野の名品を中心に、彩りに溢れ、創造性に満ちたデザイン・プロダクツの数々を、フィンランドのタンペレ市立歴史博物館、コレクション・カッコネン、フィンランド・デザイン・ミュージアムのコレクションを中心とする約250点の作品と約80点の関係資料で紹介します。フィンランド同様に自然豊かで、優れた手仕事の残る鳥取県で、四季の変化の激しい自然環境と共存するフィンランドの人々の豊かな生活思想と、温かみと洗練さを兼ね備えたそのデザイン世界を楽しんでいただきたいと思います。