日本の現代洋画界を代業する画家の一人として高い評価を受けている、大沢昌助の展覧会を開催いたします。
大沢昌助(1903-1997)は、1928(昭和3)年東京美術学校(現・東京芸術大学)西洋画科を主席で卒業。翌29年第16回二科展に「丘上の少年」他が初入選。以降、官展には拠らず二科展を主な発表の場とします。42年第29回展で「波」「運河」が二科賞を受賞、翌年二科会会員となります。戦後は1945年二科会再興に参加。同展の他、日本国際美術展、現代日本美術展、国際形象展等に出品。また、サロン・ド・メ、サンパウロ・ビエンナーレなどにも招待されました。この間、絵本や挿絵などの制作、東京都庁舎の壁画制作にも携わるなど多方面に活躍します。1954-70年多摩美術大学教授。1982年二科会退会後は、個展中心の自由な発表を続けました。
戦前は、古代ギリシア彫刻の研究に加え、シュルレアリスムへの興味から独自のレアリスムを追求。戦後は、抽象絵画に近づき、都会的で洗練された画風を展開。さらに、晩年には具象、抽象という枠組を突き抜けた自由闊達な画風にたどりつきました。その、簡潔なフィルムと明快な色彩による作品世界は、音楽や詩にも喩えられ、余人に真似の出来ぬ「大沢流」絵画として知られております。
本年は大沢昌助氏の生誕100年にあたります。そこで、各時代の代表作に加え、いままで公開されることの無かった、大沢氏がご自身の家族を描いた、親密で情愛あふれる作品群を展観し、大沢芸術の新たな魅力を紹介いたします。