芹沢銈介がもっとも大切にしていた言葉は、「模様」かもしれません。もともと画家を目指していた芹沢は、20代にはデザイナーとして活躍し、32歳の時に柳宗悦に出会い、染色作家としてデビューします。柳は、「模様の深さは想へば秘義の秘義である。時代の力が蔭に加はるならいざ知らず、個人でその美しさに迫ることは容易な業ではない。何か特別の恵みがなくば近づけるものではない。」と書いた上で、「何の幸福か吾々は今芹沢を有っている。芹沢に働いてもらうことで、今の時代はどんなに美しさを増すことか。」と記しています。 芹沢の類まれな模様の才能を見出した柳。柳が指し示した模様の道を、模様を集め、模様を散らしながら、型染という技法で一筋に歩いて行ったのが芹沢だったといえます。
本展覧会は、型染を主軸に「模様」に真撃に向き合いながら仕事をつづけた芹沢の生涯を、初期から晩年まで200点の代表作を通じて綴ります。