戦後日本画の世界に大きな足跡を残した平山郁夫(1930-2009)。本年は平山郁夫の生誕90年の節目にあたります。
戦後の院展において確固たる地位を築いた平山は、《仏教伝来》(1959年、再興第44回院展)の入選を機に、仏教伝来の道・シルクロードを生涯のテーマとして画業を推進。1968年にアフガニスタンを初めて訪れて以来、シルクロード各地を巡り、40年間に百数十回を超える旅の中で、シルクロードシリーズを描き続けました。15歳で原爆の被爆という難に出遭った平山は、仏教にその救いの道を求め、各地で平和の祈りを込めて筆を走らせたのです。そこには東西文化の交易路であるシルクロードにおいて、幾千万の人々や物資が往来する様が、幻想的な雰囲気で叙情性豊かに描かれています。
本展では、悠久の歴史ロマンにより紡がれてきた大いなる道・シルクロードを旅した平山郁夫の足跡を、大作を中心に紹介し、平山の画業をふりかえります。