日本の彫刻界を代表する作家のひとりである柳原義達(やなぎはらよしたつ)(1910-2004)の業績を紹介します。柳原は戦前よりロダン、ブールデルの影響により彫刻制作を始めます。戦争を経て、戦後、1953年に渡仏し、新たな具象彫刻を展開します。その緊張感に満ちた造形性は、対象の本質を表し、具象彫刻の可能性を押し開きました。加えて、ヒューマニズムに裏打ちされた感覚により、生命感あふれる作品を発表します。これにより、戦後日本の彫刻界に大きな足跡を残しました。
「生命の力の移動を見、その移動によってプランが構成される芸術は、絵では出来ない。ただ一つの彫刻の世界、特に具象の作家の仕事ではなかろうか。
私はこのことこそ、唯一の純粋な彫刻の美であり、具象の美しさであると信じている。私は少しでも絵画的表現の戦前の仕事から、彫刻の本質とは何かの困難な道を歩みたい。」(『柳原義達美術論集 孤独なる彫刻』)と柳原は記しています。
本展は、代表的な彫刻および素描により柳原彫刻の魅力を紹介するものです。