2017年に高松アーティスト・イン・レジデンスに参加した現代アーティストの飯川雄大が3年ぶりに高松で展示を行います。本展示では「知覚を拒む」のテーマのもと、「デコレータークラブ」シリーズ(2007-)の新作を展開します。デコレータークラブとは周辺にある藻や貝殻を体中に貼り付けて擬態する蟹(和名:モクズショイ)のこと。飯川は情報にあふれる現代を、捉えがたいこの蟹の実態にあてはめ、人と情報の関係を問い直してきました。写真に収めたくても全貌を捉えられない《ピンクの猫の小林さん》(2016-)、一見無関係と思われる物どうしをロープでつなげ、思いがけない構造を視覚化する《遠近の設計図》(2019-)、そのほか鑑賞者が目の前の壁を押し進めることで、別の空間に新たな事象が起こる《0人もしくは1人以上の観客に向けて》(2019-)など、飯川の作品は私たちの周りにある情報が全体の一部でしかないこと、人の認識が不確かであることを思い出させます。それは驚きをともない、日常生活の中で疑うことのなかった認識や情報について改めて考える機会となるでしょう。ぜひお楽しみください。