私が企画する「往復書簡」展も今回で3回目となる。この企画は、大元は若い卒業生画家と在校生に往復書簡つまり文通を展覧会までの期間に試みてもらいながら、それぞれの制作に対しての思考やその背景などを語り合いつつ展覧会を2人で築き上げて欲しいという思惑であった。これは大学教員として大学内での教育と学外での作品発表といういわゆる展示発表の現場とを繋ぎながら、さらに制作プロセスを展示者同士で共有し、またそれを観者にも広げていけないかという教育研究の一環でもある。
しかし今回は卒業生ではなく他学から本学大学院へ進学して来た大学院生と学部生との2人に参加依頼をした。2人は本企画で初めて出会い、作品も人間も未知な同士が往復書簡を通して展覧会のための様々な準備も協働しながら作品論も交わして来た。
本展は教育プロセス面を強めた企画ではあるが、それと展覧会の成否は別とは言え2人の才能のさらなる開花の一助にはなっているかとは思う。
皆様には是非のご高覧の上、厳しいご批評またご助言をいただければ大変ありがたいことです。
東京造形大学絵画専攻領域教授 近藤昌美