「幸せ」とは何でしょう。それは誰にとっても身近なことがらなはずです。「アート&ライフ」をテーマとする森美術館の開館記念展「ハピネス」は、人間にとっての永遠のテーマである「幸せ」をアートを通して探ります。本展は6世紀から19世紀に渡る日本や、その他のアジア古典美術、モネ、セザンヌなど印象派を含む西洋近現代美術、さらに新しい表現を謳歌する現代アートなど約250点、180名余りの世界中の美術の名作を「アルカディア」、「ニルヴァーナ」、「デザイア」、「ハーモニー」という4つのセクションに分けて紹介する展覧会です。このように異なったジャンルの作品を同じ空間に展示するのは、世界で初めての試みです。会場では、観客はそれぞれのセクションを、世界を旅するように歩きながら鑑賞し、美術に現れたさまざまな幸せのかたちを体験していきます。経済の低迷や戦争など、不安な要素の多い今の時代ですが、そのようなときこそ幸せについての考察が必要なのではないでしょうか。アートは時代の空気を反映するとともに、未来へと向かう力を持っています。本展は、決して天国とはいえないこの現実世界をいかに楽しく生き、幸福へ至ることができるかを考える一つの機会にもなるでしょう。