こけしは東北で生まれ、東北の大地で育まれて、今なお作り続けられている大切な郷土の宝物というべき民芸品です。親から子どもへ、また師から弟子へと、その技術、型、そして精神が受け継がれており、創作こけしと区別して、伝統こけしと呼ばれています。
こけしとは木地師の手によって、轆轤(ロクロ)という工具で作られた木製の人形です。円筒形の胴に球形の頭という格好をしています。いつ、どこで生まれたのか、その成り立ちについて、はっきりとした事が記されたものは未だ見つかっておりませんが、江戸末期の文化・文政期(1804~1830)には作られていただろうと言われています。今から約200年前にあたります。長い年月の間には、廃れそうになった時期もありましたが、工人のご尽力と、こけし愛好家等の支えにより、継承されてきました。
この度の展覧会では、昭和20年代以降に製作された各系統の工人さんの様々なこけしを一堂に並べます。伝統を受け継ぎながら、時代に合わせてにじみ出る個性を楽しんでいただきたいと思います。