白地に青い文様が鮮やかに映える中国の青花(せいか)磁器は、輸出されて世界各地で愛好され、また製陶や文化にまで大きな影響を及ぼしました。日本においても、江戸時代初めに青花を手本にして染付(そめつけ)が誕生し、江戸時代後期には京都でも磁器や中国陶磁の写しが作られるようになります。江戸時代後期に京都を中心に活躍した陶工で青木木米(あおきもくべい)(1767-1833年)は中国磁器写しに秀で、古染付や祥瑞(しょんずい)を巧みに写した作品を数多く残し、さらに木米特有の清涼感溢れる造形を生み出しています。
京都府木津川市鹿背山(かせやま)では、江戸時代後期から明治時代にかけて、中国・明~清時代の青花を写し、精緻な文様が描かれた質の高い磁器として鹿背山焼が焼造されました。本展覧会では、当館が所蔵する鹿背山焼「染付花鳥文水指(そめつけかちょうもんみずさし)」や中国磁器、日本の染付磁器とともに、西念寺や海住山寺、木津川市教育委員会、京都国立博物館などが所蔵する鹿背山焼を特別出陳し、中国の青花の日本での受容と染付の展開を探ります。 (担当 瀧朝子)