ふくやま美術館の所蔵品展では、地元出身の日本画家や洋画家による絵画作品を積極的に展示してきました。しかし、福山は、多くの工芸作家を育んだ土地でもあることをご存じでしょうか。特筆すべきは、駅家町出身の門田篁玉(1916-)です。竹細工産業の歴史が長い大分県で修業を積んだ篁玉は、福山における現代竹工芸の礎を築いた重要な作家であり、子の門田祐一(1942-)とともに、当地の竹工芸を牽引してきました。細く割いた竹を緻密に編み、豪放に曲げて形作られた二人の作品は、うねるような勢いを持ち、竹の持つ生命力を溢れるほどに感じさせるでしょう。本展では、門田父子による作品38点を特集するとともに、金工の井伏圭介(1930-2006)、木工の山根寛齋(1933-2010)、陶磁の藤本陶津(初代~3代)など、福山の地が輩出した各分野の作家による作品も展示します。郷土ゆかりの工芸作品をぜひお楽しみください。