斎藤真一(1922-1994)は、岡山県倉敷市に生まれました。1948年に東京美術学校を卒業し中学・高校で教師生活を送りました。1959年37歳の時1年間フランスに留学します。帰国後東北を旅し「瞽女」を知り、以後十数年にわたり瞽女を主題にした作品を描き、注目されるようになりました。
さらに、明治期の吉原に生きる遊女の実態を検証し、宿命と運命の中で懸命に生きた薄幸の女性の生涯、憂い、情念を描写した明治吉原細見記を発表しました。
「表面だけの美しさより生命の哀しさと喜び、そして尊さも掘り下げて内なるものをみたい」「素朴に見つめるとこの世に存在するということすら涙するほど愛しい」という斎藤真一は、人間に温かく接しながら絵を描いてきました。優しさにつつまれた哀愁に満ちた斎藤真一の世界を紹介します。
さすらい展では「瞽女」「明治吉原細見記」を中心とし、初期から晩年、絶筆の作品を展示します。