江戸時代後期の浮世絵師、歌川国芳(1797~1861)の出世作でもあり代表作でもある「水滸伝」シリーズから浮世絵版画約20点を特集展示します。
中国の四大奇書にも上げられる「水滸伝」は、108人もの豪傑が梁山泊に立てこもり、様々に活躍する物語で、日本では江戸中期から輸入され、文学や講談などによく取り上げられました。
国芳が描く水滸伝は正確には「通俗水滸伝豪傑百八人」と題され、文政10(1827)年ごろから出版されました。当時滝沢馬琴によって「みなみなきもをつぶし候」と評されるほど、豪傑たちの覇気が画面隅々までみなぎる意欲作で、武者絵の新しい領域を切り拓こうとした国芳の意気込みがうかがえます。