モンゴル帝国と大航海時代。この二つの大きな時代は、マルコ・ポーロ(伊:1254-1324)と彼が残した『東方見聞録』を一つの結節点として繋げることができます。本展ではこの二つの時代について、当館と天理図書館の所蔵品を一堂に会して解き明かしていきます。
マルコ・ポーロの旅行記『東方見聞録』は、のちに多くの写本を生み出して、大航海時代に活躍した人たちのガイドブックとなりました。この書が描く幻想的かつ富と黄金に満ちた東洋(中国とジパング)のイメージは大航海時代を切り開く冒険心の原動力となりました。大航海時代は世界史上はじめて、人・物・文化の交流が全地球規模で始まった時代であり、その波が日本に到達して南蛮文化として華開きます。大航海時代は、いま我々が生きている現代社会へとつながる大きな転換点といえる時代なのです。コロンブス、ヴァスコ・ダ・ガマ、マゼラン、同時代の日本では信長、秀吉、家康と歴史上有名な人物が輩出し、誰もが興味を惹かれる時代です。
大航海時代の冒険者たちは、間違った地図と『東方見聞録』を手がかりに大海原を渡ります。本展を通じて、彼らの夢と冒険のわくわく感をお伝えできれば幸いです。