昨年、日本近代美術の蒐集家であるI氏よりコレクション181点をご寄贈いただきました。
I氏は幼少の頃より美しいものに憧れをもち、30才から蒐集を始めます。以来60余年をかけて奥様と共に、油絵・水彩・デッサン・版画・彫刻・工芸からなるコレクションを創られました。蒐集には『気まぐれ美術館』で知られる洲之内徹の影響を受けたそうです。
コレクションは自宅の生活空間に飾り親しまれており、I氏は「作品が自分を育ててくれた」と語ります。
本展は、I氏からご寄贈いただいたコレクションを初公開する特別展の第二弾です。
第一弾では、中村彝、里見勝蔵、林武、宮本三郎、松本竣介など、大正から昭和に活躍した洋画家の作品をご紹介しました。
第二弾では彫刻と版画に焦点を当て、近代を代表する彫刻家である舟越保武と佐藤忠良のブロンズ像や銅版画を中心に、木内克や柳原義達、朝倉響子などの作品をご紹介します。
特別出品として、I氏コレクション以外の館蔵品も展示します。
同時公開
山形の孤高の画家・布施哲太郎と魔子夫妻の芸術
I氏のコレクションには、山形市出身の画家・布施哲太郎と、仙台市出身で妻であり画家の布施魔子の作品があります。布施哲太郎は、自ら作品を発表することは一度もなく、身近な風景を100歳まで描き続けました。そのひたむきな人間性と崇高な芸術性は、I氏をはじめ、画壇や文学界において敬愛されています。妻の布施魔子もまた、哲太郎の側で作品を描き、独立展や女流展などに出品し、現在も山形市を中心に画家として活躍しています。展覧会では、会場に特設コーナーを設け、二人の芸術をご紹介します。