工芸には、陶器・磁器・漆器・鋳物・七宝・鍛金・染色・竹・革・紙・人形等、幅広いジャンルが含まれており、素材の特性を生かした様々な表現方法による優れた作品が数多くあります。
今回は「様々な表現」と題し、元大分県立芸術文化短期大学教授で、多くの後進の育成に努めた工芸家吉村正郎(1946-2017)の作品を中心に紹介します。吉村は、椅子、扇風機、茶器といった堅いイメージのある日常品を、敢えて柔らかい絹布等を活用して表現することで、従来の工芸品に対するイメージを変えようと実験的な試作を繰り返した工芸家でした。その活動は幅広く、京都や東京を中心とした個展の開催や、国際タピストリービエンナーレ(スイス・ローザンヌ州美術館)等への出品、東京都美術館や福岡アジア美術館等の企画展に参加するなど、精力的な活動を展開しました。
今回の展示では、吉村に加え、竹工芸家の田辺信幸や安倍基、陶芸家の河合誓徳らの作品も展示し、様々な表現方法によって生み出された優品の数々を紹介します。