2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催にともない、現在、国際的に日本への注目が高まっています。なかでも文化・芸術への関心が向けられることの多いこの機会に、山種美術館では、日本を象徴する花として愛されてきた、桜を描いた絵画を一堂に展示する特別展を開催いたします。
古くから日本の山野に自生していた桜。中世、近世では貴族、武家など上層階級を中心に名所や自邸の桜が鑑賞され、江戸時代には多数の品種が生み出されるとともに、花見が庶民にまで広く浸透しました。爛漫と咲き誇る華やかさと、はかなく散る移ろいやすさを併せ持つ桜は、芸術の世界においても、古来詩歌に詠まれ、調度や意匠に取り入れられ、あるいは絵画化されるなど、現代にいたるまで多彩に表現されています。
本展では、日本人の美意識と深く結びついた桜に焦点をあて、近代・現代の日本画を約50点ご紹介いたします。桜そのものをテーマに取り組んだ横山大観(よこやまたいかん)や小林古径(こばやしこけい)、歴史ある名所の桜を描いた奥村土牛(おくむらとぎゅう)や橋本明治(はしもとめいじ)、人々が桜を愛でる用紙を捉えた菱田春草(ひしだしゅんそう)や松岡映丘(まつおかえいきゅう)など、日本画家たちが描いた優品後ご覧いただきます。
2020年春、桜の絵画で満開となる美術館で、描かれた桜によるお花見のひと時をお楽しみください。