小樽美術館は今年度、開館40周年を迎えました。今から39年前、開館1周年を記念して行われた第1回の特別展は「小樽画壇の先駆-工藤三郎展」でした。
類稀なる画才と実家の経済力を背景に4年間のパリでの遊学を終え、東京での活躍を心に秘めていた工藤三郎(1888-1932)は、突然父が病床に倒れ、小樽への帰郷を余儀なくされます。周囲の期待も高まっていた頃でした。小樽に帰った工藤は、家業を継ぎながら後進の指導にあたり、「小樽派」の祖となります。朗らかで自由な親しみやすい人柄と写実な画風は、多くの後輩に慕われました。しかし1932年、帰国して8年足らずの40代半ばで、病気により短い人生を閉ざしてしまいます。
パリでも一歩先の芸術を見つめ、小樽に帰郷してからは後進の育成に努め、若くして落命した工藤がみていいた未来とはなんだったのでしょうか。没後から88年の時を経た故郷小樽で、工藤三郎が残した功績を展覧します。