今年は第一期として「マリー・ベス・リード作品集」と「オリジナル映像作品最新作プレミエ上映+近作アンコール」を特集します。(第二期は、特集「ブラッケージ・アイズ2003-2004」を12/3~13に開催<12/8は休館>)。
マリー・ベス・リードは、近年注目を集め評価を高めつつある、アメリカの若手実験映画作家です。作品制作とともに、コロラド大学ボウルダー校でハンドメイドフィルムとアニメーションの教鞭をとり、後進の指導者としても活躍しています。1999年から、アメリカ実験映画最大の作家と評されるスタン・ブラッケージと共同で制作を行い、ハンドペイント作品の大部分をオプチカル・プリントを担当しました。今年3月に惜しくも亡くなったブラッケージの晩年を支えた人物でもある彼女の作品のまとまった上映は、本フェスティバル第二期の特集プログラムに先行する企画でもあります。
愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品の最新第12弾となる『サイケデリック・オルガン・パンダ』は、国際映画祭への数多くの出品歴を持ち、“映画にとっての音とは何か”を最も考える映画作家として高い評価を得ている、帯谷有里が監督を担当した注目の作品です。映画それ自体を身体としてアナロジカルにとらえる独創性と、作家が“場面代理人”と称する、観客と映画内の登場人物をむすびつける、過去の映画史において類例をみないアイディアを提示しています。劇団態変に所属する福森慶之介の出演や、身体と空間との関係を考慮した、帯谷独自の音楽演奏シーンの映像化など、ジャンルを越えた関心が寄せられるでしょう。石田尚志『フーガの技法』(シリーズ第10弾、2001年)や、東京など各地で上映され話題となった近作のアンコール上映も併せて行います。