2020年は東京オリンピックの年です。開幕へのカウントダウンが進み、大会への期待が高まっています。アスリートが記録へ挑み、その姿がもたらす感動と興奮は人々の記憶に残ることでしょう。
多くの人が感動の瞬間を胸にとどめるように、キャンバスに向かう作家たちも日々の出来事や季節の移ろいに呼応した感情の機微を察し、自らの作品に時を刻んでいます。何気ない日常の中で心にふれた出来事や事物を題材にしている 野田哲也の日記シリーズ、光と影の究極のバランスを求めてその瞬間を待ち続けた河野浅八のモノクロームの写真、元田敦海が描いた有明海の御輿来(おこしき)海岸では干潮と夕日が重なる時にだけ見せる優美な砂地の曲線をとらえています。
本展では、不知火美術館の収蔵品の中から「ときを刻む」をテーマに約60点を展示します。新春のひと時を当館の作品とともにゆっくりとお楽しみいただければ幸いです。