1966年、ロンドンのインディカ画廊で、オノ・ヨーコが発表した作品≪Ceiling Painting≫は、部屋の中央に置いてある梯子を観客が昇って天井を虫眼鏡で覗くと小さな文字で「YES」と書いてあるものでした。これを見たジョン・レノンが、「その言葉がNOであったら失望したが、YESとあったので救われた」と述べたことは有名なエピソードとして知られています。本展タイトル「YES」に込められているのは、肯定的にものごとをとらえてゆくオノ・ヨーコの作品や活動を象徴するものです。
オノ・ヨーコは美術、音楽、影像、パフォーマンスなどさまざまなジャンルを横断するアーティストとして、国際的に活躍し、ジョン・レノンをはじめ、多くの人々に影響を与え続けてきました。「YES オノ・ヨーコ展」は、2000年のジャパン・ソサエティーギャラリーを皮切りにアメリカ国内を巡回し大きな反響を呼びました。本展は日本で初めて開催される本格的な回顧展であり、彼女の1960年代から現在までの作品約130点(含むオブジェ60点、写真・ドキュメント50点、映像5点、インスタレーション15点)を紹介します。彼女は観客が参加することによって成立する作品も多く制作しており、本展でも観客が能動的に関わることを前提とした作品が出品されています。また日本展では、死と生を暗示させる百個の棺によるインスタレーションも新作として展示されます。
オノ・ヨーコの集大成ともいえる本展は、共生や想像力、そしてコミュニケーションの大切さを訴え、先の見えない現代にこそ必要とされるメッセージを多く含んでいます。