土門拳は、昭和14年に初めて室生寺を訪れ、その翌年に、広隆寺・中宮寺の弥勒菩薩を撮って以来、実に40年をかけて全国の寺院をめぐり、仏像彫刻を撮り続けました。なかでも、飛鳥から鎌倉時代にかけて造られた仏像が特に好きで、これらの“仏像”と土門の“眼”の出会いによって生まれた写真作品には、土門が感じた日本文化の美しさ、力強さが表現されています。
「薬師寺東院堂観音菩薩立像(聖観音)」「聖林寺十一面観音立像」「浄瑠璃寺金堂吉祥天立像」……。それぞれの仏像の魅力が、土門の独特のカメラアイによって一層伝わってくることでしょう。