からっぽに満たされる
陶や樹脂などで造形し、現実から遊離した空気をまとう人物表現に取り組む高嶋英男。日本画、工芸、彫刻を専門的に学び、身につけた技術を混交させて用います。
例えば高嶋は、粘土を足元から袋状に積み上げて人体を形作りますが、これは彫刻よりも陶器の作り方に近いですし、青色の絵付けや金泥で飾られた表面は陶の質感を持っています。ほかにも特殊メイク顔負けの型取りや、鰹節を削ったオブジェなど、技法や素材は実に多彩です。
ジャンルにとらわれない選択は、裏返って作ることへの執念を感じさせます。ただし、頭が空洞の壺に変化してしまうように、執念が勢い余って反転してしてしまうところに、高嶋の個性があります。均されて整えられてしまう前の力強い衝動が、私たちをひきつけてやみません。
今回は、粘土を積み上げて等身大の人体像を公開制作します。細やかな作業の経過とともに、人であり人を超えた存在が生まれ出てくる時間に立ち会ってみませんか。