雲にのる仏というと阿弥陀来迎が有名ですが、中世においては弥勒菩薩や地蔵菩薩をはじめ多くの仏が雲にのった姿で表されています。また、寺社の縁起絵巻や密教図像集の中にはさまざまな雲にのる仏たち、時には神々が雲にのる場面を見いだすこともできます。神や仏が雲にのってやって来るということは、高天原(たかまがはら)や浄土という聖なる地からこの世に現れることであり、中世の人々の「自分の所にやってきて欲しい」「神仏をもっと身近に感じたい」という願いのあらわれであったということができるでしょう。
この特別展では、さまざまな雲にのる神や仏の姿を通し、神仏が「雲」にのることの意味・役割を探るとともに、中世の人々と神仏とのつながりを、重要文化財を含め約50点の資料で紹介します。