「『十一』というのは鳥の名前で、鳥の図鑑をぱらぱらと眺めている時にみつけました。
なぜ十一なのか気になって、はじめは数字の『11』を思い浮かべたのですが、
その鳥の『ジュウイチ』という鳴き声に由来することがわかりました。
意味であったり、形であったり、音であったり、
『十一』は私の中でいろいろな姿にかたちを変えていきました。
今も私はその姿をうまく捕まえることができません。」
ありふれた日用品を素材に使いそこに繊細な手仕事を加えることで見慣れた風景を変貌させる森末由美子。
あたりまえに存在しているものがそうではないかもしれないということ、いつ変化してそうなっていったのか誰も気がつかないほど
日常はアップデートしていく、そこに立ち上がる存在と不在の境界線を可視化するかのように、森末はものがモノであるぎりぎりの
ところまで根気強く解体してそしてまた丁寧に紡ぎなおす。
かすかなユーモアさえ漂う森末の作品はいつも私たちを魅了する。