熊谷守一(1880-1977)は、岐阜の裕福な家庭に生まれました。画家を志して1900年に東京美術学校へ入学。黒田清輝らに指導を受けながら、同級生の青木繁とも親交を結びました。ここからはじまる70年以上に及ぶ画業の中で、守一の画風は常にゆるやかな変化を続け、フラットな色面と明確な輪郭線による、いわゆる「モリカズ様式」が完成したのは、70歳を超えてからのことでした。今回の展覧会では、初期から晩年まで守一の画業の全貌をたどるとともに、花や虫などの愛らしい作品を通して、小さないのちをみつめる画家の眼差しとその造形性に迫ります。