本展は、視覚伝達デザイン学科の授業「編集とデザイン」の紹介を通して、その講師を務めた編集者、島本脩二(一九四六-)のデザイン教育の実践を紹介します。
《本》は著者と編集者、デザイナーの協働作業で作られます。島本は授業の中で、「印刷」や「紙」「製本」など、《本》を作る過程で欠かすことのできない編集者とデザイナー両者が関わる領域を扱いながら、それぞれの役割について伝えてきました。展示では、学生自らが著者、編集者、デザイナーとなり、十年後の自分を読者と想定して制作した課題書籍『二〇××年の私』約一八〇点を一堂に展観し、島本のデザイン教育の成果をご紹介します。会場で実際に手にとって閲覧いただくことで、美術大学で学ぶ彼らの日常と豊かな表現力、そして課題制作にかけた熱量を間近で感じていただけることでしょう。
あわせて、五〇年以上にわたり島本が編集を手がけた《本》約一四○点をご紹介します。ベストセラーとなった『日本国憲法』(一九八二年)をはじめ、音楽グループ YELLOW MAGIC ORCHESTRA の写真集など、幅広い分野にわたる著者たちとの仕事の全貌を展観します。島本が本学の授業で伝えてきた「デザイナーと編集者の役割」とは何か、島本自身の仕事と学生の作品を通して、その思想と実践に迫ります。