「日本のわざと美」は、陶芸・染織・漆芸・金工・木竹工など工芸技術分野の重要無形文化財保持者・保持団体の代表的作品を展示すると共に、伝統工芸に用いられる材料や道具の生産・製造を担ってきた選定保存技術保持者・保存団体の技術を関係資料によって明らかにし、日本の伝統工芸における匠の「わざ」の全貌を紹介する展覧会です。文化庁の主催により平成8年度から毎年、2会場で開催されていますが、今年度は岐阜県美術館と大分県立芸術会館を会場とし、総出品数200点を超える充実した内容で開催されることになりました。
文化財保持者(いわゆる人間国宝)に認定された荒川豊蔵(あらかわとよぞう)をはじめ、塚本快示(つかもとかいじ)[白磁(はくじ)・青白磁(せいはくじ)]、鈴木藏(すずきおさむ)[志野(しの)]、加藤卓男(かとうたくお)[三彩(さんさい)]、染織部門の宗廣力三(むねひろりきぞう)[紬縞織(つむぎしまおり)・絣織(かすりおり)]、団体としては本美濃紙保存会(ほんみのしほぞんかい)[本美濃紙] の名があげられます。
わが国に受け継がれてきた誇るべき工芸技術のすべてを集めたこの展覧会で、陰に陽に伝統工芸を支える人々とその状況を理解し、文化財のかけがえのなさ、保存の重要性を感じ取っていただきたいと思います。また同時に、岐阜県内の伝統工芸文化にも新たなまなざしを向ける良い機会となることを願っています。