日頃何気なく口にする「縁起がいい」あるいは「縁起が悪い」という言葉。「縁起」とは仏教用語〈因縁生起〉の略語で、仏教の真理の一つを表す言葉です。そこから、社寺の起源や沿革、由来という意味となり、また広く事物の起源、あるいは物事の吉凶の前兆をも意味します。また、「縁起物」とは、本来社寺の縁起を祝うために神社や寺院が頒布したもの。酉の市の熊手やだるまなどが有名ですが、今では、よい縁起を得られるようにと祈ったり、「ハレ」を祝ったりするためのものも、いわゆる縁起物と言っています。江戸の人々は、身の回りにあるさまざまな「縁起物」を大切にしていました。皆が知っているものから、普段はあまり気にしないものまで。江戸時代の人々と一緒に、浮世絵に描かれた縁起物を探しにいきましょう。