石川県は、江戸時代から加賀藩主前田家の保護育成政策により文化の華が開き、その伝統が今日まで継承され、古美術の歴史的名作が伝来しています。また、作家の層も厚く、重要無形文化財保持者(人間国宝)・日本美術院会員に認定される作家も多く輩出しており、水準の高い美術工芸の盛んな地域として知られています。
石川県立美術館は、その伝統的な芸術的個性を活かした地方色豊かな美術館として親しまれています。同時に地域文化の集積をめざして作品の収集も積極的に行ってきました。現在の美術館の前身である石川県美術館(兼六園石引口に昭和34年開館)から60年におよぶ歴史のうちに、その収蔵点数が3,900件を超えるに至りました。また、こうした活動に賛同する収集家から優れた作品の寄託も受けています。
本展は、美術館創設から60年の節目を迎えたことを機に、当館を代表する秀作群と寄託されている優品から約300件を選りすぐり、一挙に公開します。石川の美術をあらためて認識し、石川県立美術館の個性を見直すとともに、その魅力を全国に発信することを目的に開催するものです。