カルカッタの路上でマザー・テレサに救われ祝福を受ける子どもたち、戦争の意味もわからぬまま自由を奪われる子どもたち。現実を受け入れようとする厳しい眼 、好奇心に満ちた眼、希望に輝く眼。過酷な状況のなかにあって、命の尊厳が輝き出す瞬間をとらえ、生命の鼓動を一枚の写真の中に凝縮させていく ― さまざまな「命」の有りようを伝える小林の写真は、その悲惨さをことさらに訴えようとするよりも、むしろ淡々と、ひとりひとりに静かに向かい合って、たとえ一瞬の間に行われたにせよ、レンズを介した写真家と子どもたちとの対話のぬくもりを伝えようとするものです。同時に、その穏やかな眼差しの奥に、問題の本質を深く見据えて、悲劇が繰り返されぬよう強くメッセージを発信しています。21世紀を歩み始めたいま、世界は未だ不安定な国際情勢のなかにあります。この世界に生きていくとはどういうことなのか。いま一度「平和」について考えるきっかけになれば幸いです。
本展では、〈難民〉〈マザー・テレサ〉〈地雷〉の3部構成により約200点を展示するほか、廃棄処理済みの地雷、国連難民高等弁務官事務所の資料展示をします。