絵の中の世界には、存在しえないものも自由に描き出せる特権があります。
ところがすぐれた画家たちの中には、重力と物質の制約がある現実世界にあえて
手を広げ、斬新な立体作品を制作した作家たちがいました。
ピカソをはじめとする、従来の方法にとらわれない画家ならではの視点が、
20世紀の彫刻の歴史を更新したともいえるのです。
絵の中の二次元の像を、画家はなぜ、どのように3D化するのでしょうか。
もともと絵は現実世界を二次元に写すことから始まりますが、画家の彫刻はイメージを実体化しようとして、絵画思考を新たに触発していく契機にもなっていきます。
本展では、画家の平面と立体の作品を両方並べて展覧します。絵と彫刻はどのように通じあい、どのように異なり、互いに関係しあうのか。国内外の約20人の画家たちが、カンヴァスから踏み出して試みた実験を、どうぞご覧ください。