フリーダ・カーロ(1907~54)は、強烈な作風と波瀾に満ちた人生によって、メキシコを代表する芸術家として知られ、その生き様が映画化されるなど、世界でも注目を集めています。カーロが生きた時代=20世紀前半、メキシコシティはヨーロッパやアメリカからも多くの芸術家や知識人が訪れ、活気ある、しかし混沌とした国際都市へと成長していました。その中でも、ひときわ輝きを放ったのは自らの内面世界を描き出したフリーダ・カーロを筆頭とする、才気あふれる女性芸術家たちの存在でした。シュルレアリスムの洗礼を受け、幻想的な作風で知られるレオノーラ・キャリントンやレメディオス・バロ、またアリス・ラオンもヨーロッパから相次いで亡命・移住した画家たちです。一方、カーロやマリア・イスキエルドらメキシコ生まれの画家たちは、同じくシュールな世界を追求しながらもメキシコの土着的なものを感じさせる、強烈なイメージの作品を描きました。また写真の分野でも女性が活躍しています。カティ・オルナ、ローラ・アルバレス・ブラボは、シュルレアリスム的写真を撮り続けながら、メキシコで活躍した芸術家たちの素顔を写真に収めました。
本展は、「20世紀」「ヨーロッパとメキシコ」「女性芸術家」「シュルレアリスム」といったテーマのもと、約半数が本邦初公開となる、これら5人の画家の作品約80点と2人の写真家の作品50点により、情熱の国メキシコに生きた女性シュルレアリストたちの軌跡をたどる、熱い展覧会です。