「高温で流動するガラスが凝結する時 記される現象は宇宙が綴る詩である」― 嶋崎 誠
現代美術家・嶋崎誠は、古代メソポタミアで発明されたガラスの鋳造技法を独自に発展せ、現代と古代とを結ぶ彫刻の制作に挑んでいます。重さが数百キロにもなるガラス彫刻の制作には、時間と熱エネルギー、そして没頭できる環境が必要です。嶋崎は制作の場を北海道東部に求めました。
20代で斎藤義重、関根伸夫という日本現代美術の主導者に師事した嶋崎は、世界の美術の潮流を目の当たりにしました。多様化する表現は、表現と行為そのものの意味を問い直すことを要求し、その意味を問い続けた嶋崎は、物理学や東洋の美学の中に、答え
を見いだします。
作家の集大成となる本展では、30年の月日をかけて完成させたガラス彫刻19点、彫刻に共鳴する大型の絵画6点のほか、多数のドローイングを展示し、表現の根底に流れる作家の思考を体感していただきます。