今回、小山登美夫ギャラリーでは、「首くくり栲象」の庭劇場での姿を追う宮本隆司の写真・映像展示と、余越保子の2010年制作の「Hangman Takuzo」(46分)の上映を、8月の5日間、行います。
首くくり栲象さんは、自宅の庭を「庭劇場」と称し、月に2回程度パフォーマンスを行なっていたと聞きます。私は、今年の3月、宮本隆司さんの「首くくり栲象」写真集の出版記念展覧会を見るまで、恥ずかしながら、その存在すら知らなかったのです。なので、もちろん、庭劇場でのパフォーマンスも見ていません。でも、こんな人がいたのかという驚きと、以前衝撃を受けた羽永光利さんの写真「突っ立っている痙攣」の人物が同一人物だということを知り、彼の存在の仕方と表現を見ていただきたいと思い、今回の展示を企画しました。
写真集に書かれた宮本さんの文章の中に
「首くくり栲象は自身の行為にまつわる神秘的な想いを嫌っていた。『毎日、庭で首をくくっています』とごく普通のことをやっているように言っていた。『死に触れず、死を作品化する、あるいは生に触れず、生を作品化することはできるはずだ』とも書いていた。」(宮本隆司『首くくり栲象』写真集 BankART1929発行より)
とあります。
現代美術のアーティストである松澤宥、高松次郎、風倉匠につながるこの人間が、最後に選んだ表現の凄さを是非、見て見てください。
(小山登美夫)