17年の森
あの日も同じ朝だった
いつものように足音が聞こえてくるはずだった
かけがえのないものはいつも儚くて
願えば願うほど遠くなってしまう
消えてしまいそうな光を追いかけて、その温もりが冷めないように祈った
17年の深い森は私に多くのことを教えてくれた
その存在が
その温もりが
その重みが
私の全てを癒やしてくれた
一緒に見たかった花が今年は咲いたのに
ずっと一緒に見ていて欲しかったのに
愛しい気持ちはあなたから
嬉しい気持ちもあなたから
そして哀しい気持ちもあなたから
限りある時間の中でみせてくれたその温もりを
その息遣いを その存在を
私は少しでも遺せるだろうか
追憶の森の中で
さまよい続けるこの時間がきっとあなたの最後の
贈り物なのかもしれない