イタリア現代陶芸の巨匠ニーノ・カルーソ(1928-2017)は、神話性、象徴性を制作におけるテーマの一つとしています。初期は、自身のルーツであるシチリアの記憶と結びつけた装飾的な器物を制作していましたが、次第に古代ローマやギリシャ、エトルリアの遺跡等を思わせる壁面や柱、門などの形態制作を通じて、古代と現代を結ぶ空間の構築へと向かいます。こうしたカルーソの表現は、日本を含め世界中で高い評価を得ています。
またカルーソは、美濃焼で知られる当地の世界的なコンペティション、国際陶磁器展美濃の第1回展(1986年)から第6回展(2002年)まで審査員を5度歴任するなど、美濃にもゆかりが深く、この国際陶磁器展美濃は、2020年秋に第12回の開催を迎えようとしています。
本展は、ニーノ・カルーソの偉業を、92点の代表作と数々のデザインワークやスケッチなどの資料を通じて紹介する、日本で初めての本格的な回顧展です。