江戸は「水の都」と言われるほど、水とは切っても切れない関係にありました。江戸開幕以来、それまでは地方の一城下町に過ぎなかった江戸の町は徐々に人口が増加し始め、飲料水の不足が深刻化していきます。そこで初代将軍の徳川家康は町に上水道を整備するよう命じ、特に神田上水と玉川上水は江戸時代を通じて利用されました。水の都と言われるゆえんはそれだけではありません。19世紀、江戸の人口は100万人を超え、世界有数の大都市として栄えていましたが、人々の生活を支えるには大量の物資が必要でした。物資輸送で活躍したのは舟運です。全国から集まった産物は、内陸まで張り巡らされた水路網によって江戸の各地に運ばれました。100万都市・江戸を支えたのは、まさに水の力だったのです。
本展では、浮世絵に描かれた水辺の風景や水中の生き物、また、広重が捉えた水と共に暮らす人々の生活をご覧いただきます。