「優しいほとけ・怖いほとけ」は、飛鳥時代から江戸時代に至る仏教絵画・彫刻の優品約35件を展示し、さまざまなほとけの表情とその意味を探る展覧会です。 ほとけは、その姿と役割からほぼ三種類に分類することができます。それは、仏教の真理を体現する厳(おごそ)かな「如来」、人々を苦難から救い福楽を与える慈悲(じひ)相の「菩薩」、そして、教えに従わない者や怨敵(おんてき)を屈服させる忿怒(ふんぬ)相の「明王」です。さらにこの忿怒相のグループには、外敵を撃退する、厳しい表情の四天王のような「天」も含まれます。
尊い釈迦如来を礼拝し、優しい観音菩薩に救いを求め、迷いや邪念を不動明王の猛火に投じ、毘沙門天に日々の安堵を頼む―それにより人々は現世での健やかな人生を願ったのです。