平成12年度に芦屋市市制施行六十周年と美術博物館開館十周年を記念し「伊勢物語と芦屋」展を開催しました。芦屋とゆかりの深い在原業平、そして『伊勢物語』を取り上げ、奈良絵本・古写本・絵巻・屏風を中心に華やかな伊勢物語の世界を再現したものです。この展観によって芦屋と『伊勢物語』の関係はいっそう深く親密なものとして再認識されました。芦屋が有する歴史的イメージの形成においても『伊勢物語』の果たした役割は計り知れぬものがあります。それは地名に反映され、歌名所としての芦屋を全国に周知させる基になったと思われます。当館としても特別展の単発な企画に終わるのでなく、定期的に『伊勢物語』の文芸作品を紹介できればと考え、毎年一回の伊勢物語展を企画しました。展示には同展でもお世話になった鉄心斎文庫伊勢物語文華館に協力をお願いし、同館所蔵の伊勢物語関係作品を順次公開させていただくこととなりました。
今年度は、第一回として絵画作品に見る『伊勢物語』を取り上げさせていただきました。物語の世界が絵画作品にどう表現されているのか。様々な作品から感じ取ってもらえれば幸いです。