―大正時代の青年画家、過去最大の回顧展。―
今から100年前の1919(大正8)年、わずか20歳と2か月で生涯を閉じた、ひとりの青年画家がいました。その名は、関根正二(せきね しょうじ、1899-1919)。現在の福島県白河市に生まれ、幼少期に東京・深川へと移り住んだ関根は、周囲の人たちからの影響を受け、やがて画家を志します。16歳で洋画家としてデビューし、1918(大正7)年の第5回二科展で新人賞にあたる樗牛賞(ちょぎゅうしょう)を《信仰の悲しみ》、《姉弟》、《自画像》の3作品により受賞した関根は、「関根のヴァーミリオン」と賞賛された朱色、深い青緑などのあざやかな色づかいと幻想性が溶け合った作品を次々と描きますが、病に冒され、1919年6月に急逝します。
関根の画家としての活動期間はわずか5年程であり、遺された作品も決して多くはありません。しかし、その画業は日本の近代美術館の成長とともに明らかにされ、また、2003(平成15)年には出世作《信仰の悲しみ》が国の重要文化財に指定されるなど、大正時代の個性派画家という評価がなされてきました。今回の展覧会は、近年新たに発見された作品・資料を含む、関根の作品約100点、書簡や資料約60点、関根に影響を与えた同時代の関連作家の作品や資料約50点で構成する、過去最大規模の関根正二展となります。
卓越した素描力と鮮烈な色彩に包まれた精神性豊かな作品と会場で向き合い、青春を駆け抜けた関根正二の無垢な魂の輝きに触れてみませんか―。