美濃加茂市民ミュージアムでは、「地域ゆかりの作家」「芸術と自然」「日本近現代の版画」を美術品の収集方針としてきました。この夏の収蔵品展では、主に美濃加茂市ゆかりの作家の作品を中心に、旅と世界にまつわる絵画を選び、展覧いたします。
明治時代の日本では、西洋絵画の技法を採り入れる洋画を志す者が増えました。主にフランスやイタリアといった西欧に憧れを抱いた多くの画家が海を渡り、本格的な技法を学び、現地の風景を描きました。戦時下には、戦地で戦う兵士たちの慰問や戦況を記録する目的で画家が大陸に派遣され、写真のような写実的な絵画が生み出されました。時代は下り、多くの画家が自分の望む多様な国々に行けるようになり、現地の風物をただ描写するだけではない、旅先で得た感動や複雑な心情を表現する精神性の高い絵画も多く描かれるようになりました。
それぞれの時代にそれぞれの目的で日本から旅立ち、世界を眺めた画家たちと一緒に旅をするような少し贅沢なひとときをお楽しみいただければ幸いです。