昭和16年、棟方は「題材は、佛さまに類したものがそれまでに多いので、神さまの形をかりてと思い~歴史の上にまだ姿をあらわさない混沌たる世界の人物を板画にしようと思いました」と語り、日本武尊より以前に古事記に現れてくる、日本の最初の者達を〈超性の者〉と称して描き《門舞頌》と題し発表しました。この後、天孫降臨にまつわる天鈿女命と猿田彦の神との出会いを描いた《邂逅板画柵》や、「古事記に由来した誕生の神を網羅した」と棟方が語る《群生の柵》などを制作します。
棟方は日本の最初の神々を超性の者と呼んでいますが、必ずしも神に限ったものではなく、いわば人智を超えた能力を持つ者を超性の者と考えていたのでしょう。
また、日本ではあらゆるものに神が宿ると考えられています。例えば、富士山はコノハナサクヤヒメが山神として想定されて信仰の対象となっているように、自然を神格化することがあります。
冬の展示では古事記に想を得て制作した作品や棟方が超性の者と感じたであろう人物、風景などを描いた作品を主に紹介いたします。