アメリカの絵本作家エドワード・ゴーリー(Edward Gorey/1925~2000)の展覧会を開催します。アイロニカルで少し不気味な独特の世界観と、繊細なモノクロームの線描は、世界中の人々を魅了してきました。近年、『うろんな客』や『不幸な子供』などの絵本の翻訳が次々に発表されたことで、日本でもゴーリーの人気が高まっています。
ゴーリーの絵本の世界は、幻惑的な物語と繊細で優雅なイラストで構成されています。文学に傾倒したゴーリーらしく、古語や造語、押韻などが散りばめられたテキストによって複雑で謎解きのようなストーリーが組み立てられ、細いペンで描かれた個性的で不思議な登場人物たちが物語の世界を演じます。このゴーリーの世界観に、シュールレアリストのマックス・エルンストや映画監督のティム・バートンなど多くの芸術家や文化人が魅了され、彼の芸術はあらゆるジャンルの創作の源泉となってきました。
本展は、ゴーリーの没後、エドワード・ゴーリー公益信託とブランディーワイン・リバー美術館によって準備された世界巡回の原画展です。日本で初公開するもので、2016年より国内各地を巡ってきました。原画に資料や書簡などを加えた約350点から、ゴーリーの世界観を紹介します。