ヒノギャラリーでは2019年3月30日(土)より「エルヴィーン・レーグル “for a space”」を開催いたします。
エルヴィーン・レーグル(b. 1954)はドイツバイエル州インゴルシュタット出身の彫刻家です。十代の頃より彫刻、主に木彫の基礎を学び、その後進学したミュンヘン美術院にて、その芸術性を高めていきました。これまでドイツ国内での展示はもちろん、日本をはじめ、デンマークやポーランド、ブラジルなど海外でも展示やワークショップを精力的におこなっております。
レーグルの作品は、往々にして非常に自由な創作と受け止められがちですが、そこには学生時代に徹底的に叩き込まれた塑像の基礎であったり、扱う素材の特徴、そして三次元から二次元、またその逆といった構成変換が体得されており、そういったいわば礎のような、感覚にもつながる豊かな領域によって、一見アンバランスながらも心地のよいレーグルならではの作品を生み出しています。特別なテーマやコンセプトは持たず、素材に触れ、構造を探りながら、そして自身の感性に常に呼応させながら、かたちを見極めていきます。
白で統一された世界というのも、レーグル作品の特徴の一つです。そのアプローチは作品を何ものでもないものへと変容させ、観る者に様々な想像を与えてくれます。また、偽りのない白は、かたちを決定するまでの作家の営為の痕跡を鮮明に浮かび上がらせ、静謐な中にも迫真的な表現を垣間見ることができます。
ヒノギャラリーでは5年ぶり2度目の個展となります。前回展はブロンズ作品が中心でしたが、今回は作家の象徴であり日本での開催を望んでいた『白』の展示が実現します。本展タイトルに付けられた “for a space” は文字通り「空間」を意味しますが、「しばらくの間」といった「時間」を示す言葉でもあり、転じて「切望」という意味にも変換されます。初めて日本を訪れた時、この地の感性や美意識に強く共感したというレーグル。今度は自身の作品で私たちの感性をどのように揺さぶってくれるのでしょうか。ご高覧いただければ幸いです。
尚、本展は名古屋市東山の宝鑑美術との共催になります。宝鑑美術では4月6日(土)より「エルヴィーン・レーグル “and for a space”」が開催されます。機会がございましたら、両展合わせてご高覧くださいますようお願い申し上げます。